ナッちゃん読了

7&Yで頼んでいた分が店舗到着したため、引き取って読了しました。


正直、かなり面白かったです。
時々エピソードを通して物作りに関わる人間としての心構えみたいなものが語られるのですが、どれも共感できることが多く、果たして自分は日々の仕事の中できちんとできているだろうか?と考えさせられたり、反省したりしました。
ナッちゃんは鉄工所で私はソフトウェア開発ですが、この漫画で語られる職人魂はすべての創造的職種において必要なものだと感じます。


いろいろとエピソードはあるのですが、私が一番そうそう!と思ったのが、17巻「イメージできるかな?」でのナッちゃんの言葉です。


忙しいナッちゃんのもとに、同級生が訪ねてきて、至急の仕事を頼んできます。
ナッちゃんは先約があってこなせないので断るのですが、同級生はだったら自分が加工するから材料と機械を使わせてくれと言います。
しかし、どうやっても作ることができず、いらだつ同級生にナッちゃんが見かねてかわりに作ってしまいます。
自分が何度やってもできなかったものを初めて作るにもかかわらずナッちゃんがちょいちょいと作ってしまったことに対して、疑問をぶつける同級生に彼女はこう答えます。


「うまくいくかどうかは技術だけやのうて、イメージできるかどうかやねん。
 あ これはこうやってああやったらできるな…てイメージ。
 工程や順序やダンドリや完成の絵が、最初にパッとイメージできるかどうか…。
 イメージできた時点でほぼ80%ぐらいは完成したも同然なんや。
 あとはその通りに実際に加工するだけ」


その後、どうすればイメージできるようになるか?という質問に対し、失敗の経験の積み重ねかなと締めるのですが、まさにその通りだと思います。
ソフトウェアを作るときもまさにそうで、やみくもに作ることに注力し、キーボードに向かうのではまずダメで、まずはその完成イメージを描くことができるかが重要だと感じています。
私はお客さんの話を聞いている最中に動きと仕組みのイメージを組み立てながら聞くようにしているのですが、これらのイメージが明確に見えるほど(当然のことながら)早く、確実に作ることができます。
#調子の良いときは、聞いてる端からコードが浮かぶこともあります。


じゃぁどうすればそのイメージが浮かぶことになるの?と言われれば、やはりどれだけ真摯にプログラムについて考えたことがあるかに尽きるのではないでしょうか?
参照・参考となるものを外に求めて、似たような部分をコピー・コピーで作っていくことも生産性の向上には重要ですが、それだけでは対応できない場面にどこかで必ず直面します。
そのときに今まで自分の中に積みあげたモデルと比較し、類似点を探し、応用・発展させることができるかどうかが、すなわちイメージできるかどうかの分かれ目です。
このモデルを増やすために、常日頃からいろいろなことを考え、試行錯誤しておくことが重要だと思っています。


このような、エピソードや、加工の蘊蓄がたっぷりつまったナッちゃんの読者が1人でも増えて、少しでも長く連載が続けられることを願います。